製菓衛生師とは菓子職人の国家資格で衛生師になるには2つの方法がある
製菓
製菓職人やパティシエになるために何か資格が必要なのかと調べている人は、製菓衛生師の資格をよく目にするでしょう。
この製菓衛生師の資格はパティシエになるために必須の資格ではありません。しかし、資格を取得しておくメリットもあります。
この記事では製菓職人やパティシエを目指す人に向けて製菓衛生師とはどのような資格なのか、資格取得のための方法、取得のメリットを紹介します。
資格取得の方法やメリットを参考にして、製菓衛生師の資格を取得するかどうか検討しましょう。
製菓衛生師とは国家資格でお菓子作りのプロの証
製菓衛生師とは国家資格で、和菓子や洋菓子などのお菓子作りに関する知識や技術を習得したプロであることの証明になります。
また、製菓衛生師は名称独占資格に分類されるため、この資格を持っていない人が製菓衛生師を名乗って仕事をしたときには法律で罰せられます。
製菓衛生師になるには2通りの方法がある
製菓衛生師になるためには2通りの方法があります。
1.専門学校や短大などに1年以上通い試験に合格する
製菓衛生師になるための1つ目の方法は、製菓製造の知識や技術を学習できる指定された専門学校や短大などの認定養成施設で1年以上学習してから、試験に合格する方法です。
前提として製菓衛生師は誰でも受けられるわけではなく、受験のために一定の条件を満たす必要があると覚えておきましょう。
その条件のうちの1つに「都道府県知事の指定する製菓衛生師養成施設において1年以上製菓衛生師として必要な知識及び技能を修得したもの」があります。(参考サイト:厚生労働省ホームページ内「製菓衛生師」)
よって、受験資格を得るために1年以上は専門学校や短大などで学習をする必要があります。
2.2年以上の実務経験を積み試験に合格する
製菓衛生師はもう1つ別の方法で受験資格を得られます。それが「2年以上菓子製造業に従事したもの」です。(参考サイト:厚生労働省ホームページ内「製菓衛生師」)
こちらは学校を卒業しているかどうかは関係なく、2年以上製菓製造業に従事していればそれだけで受験資格を得られます。
学校に通うための学費が不要かつ、働いている間は収入があるため費用的な負担は非常に小さい反面、2年という長い期間を要することがデメリットです。
費用は必要だが1年で受験資格を得られる養成施設の卒業と、費用は不要だが2年もの時間を要する製菓製造業のどちらで受験資格を得るかは受験者の判断に委ねられます。
専門学校や短大に入学することは資格取得のメリットだけではありません。実習で技術を身につけられたり、卒業後の就職をサポートしてくれたりとパティシエとしてのキャリアを大きく前進させてくれます。
製菓衛生師の取得を検討していて、学費に余裕がある場合は専門学校に通うほうがその後のキャリアの選択肢に幅がでると考えて検討しましょう。
製菓衛生師とパティシエの違いは資格名と職業名
製菓衛生師とパティシエの違いは資格名であるか、職業名であるかという点です。
製菓衛生師は資格の名称であり、受験資格を得て試験に合格した人しか製菓衛生師を名乗れません。
製菓衛生師は名称独占資格と説明したように、資格を所持していない人が製菓衛生師を名乗ることは法的に禁止されているためです。
一方でパティシエを名乗るために必要な資格はなく、菓子職人であれば全員がパティシエと名乗って仕事をできます。
すべてのパティシエが製菓衛生師の資格を所持しているわけではなく、パティシエの中でも試験に合格した人だけが製菓衛生師を名乗れます。
製菓衛生師と製菓技能士は受験資格や試験内容が異なる
製菓衛生師とよく混同されてしまう資格に菓子製造技能士があります。
この2つの資格は受験資格や試験内容が異なるため、資格取得を目指すときは自分が正しい受験資格を持っているかどうか事前によく確認しましょう。
製菓衛生師に必要な受験資格は以下の2つでした。
・都道府県知事の指定する製菓衛生師養成施設において1年以上製菓衛生師として必要な知識及び技能を修得したもの
・2年以上菓子製造業に従事したもの
(参考サイト:厚生労働省ホームページ内「製菓衛生師」)
製菓衛生師は資格名に「衛生」と入っていることから、お菓子作りの知識や技術だけではなく、店舗の衛生管理に関する知識を持っていることが特徴だとわかります。
ここでいう衛生とは清潔な状態を保つという食品衛生的な意味だけではなく、身体的精神的な健康を増進する、いわゆる公衆衛生的な意味も持ちます。
人員は必要な数配置されているか、不当な労働環境にないかなど、労働衛生的な部分についても知識を習得していることが資格取得のために必要です。
一方、菓子製造技能士の取得のために必要な受験資格は原則として実務経験です。
菓子製造技能士は1級と2級があり、1級に関しては学校を卒業していても受験のために実務経験が欠かせません。
資格取得のためには菓子製造のための技術や知識だけではなく、それに関わる材料の品質管理や手配などの知識も有することが必要です。
製菓衛生師は開業や留学に使い道がある
試験に合格して製菓衛生師の資格を得たときにどのような使い道があるのか紹介します。
開業に必要な食品衛生責任者を講習なしで取得可能
独立して自分のお店を持つときに必須な資格がいくつかあり、その中の1つに「食品衛生責任者」があります。
この資格は店舗ごとに1人配置することが必須の資格で、1人が複数店舗の責任者になることは原則としてできません。
この資格を取得するためには各都道府県で1日約6時間かけて実施される講習会に出席することが必須です。また、地域による差はあるものの受講に費用が1万円程度かかります。
しかし、製菓衛生師はこの講習会を受けずに食品衛生責任者の資格を取得できるため、時間と費用を節約して店舗開業に必須の資格を取得できます。
留学に必要な就労ビザが取得しやすくなる場合がある
製菓衛生師の資格を取得する人の多くが職業として菓子職人やパティシエを選びます。パティシエを目指すときに海外での修行を進路に入れる人も少なくありません。
海外で就業するときには必ず就労ビザが必要です。このビザを持たないまま海外で仕事をすると不法就労となり、強制的に国外に退去させられることもあります。
ただし、この就労ビザは誰にでも発行しているわけではなく、各国で一定の条件がありビザがおりない可能性も考慮しなければなりません。
ただし、国家資格である製菓衛生師の資格を持っていれば、ビザの取得がしやすくなるといわれています。
国家資格を所持していることで就労ビザの発行に有利になると考えれば、製菓衛生師を取得するメリットがあると考えられます。
将来自分のお店を持ちたい人は製菓衛生師を取得しよう
いつか独立して自分のお店を持ちたいと思っている人はぜひ製菓衛生師の取得を検討してください。
製菓衛生師の資格を持っていれば、店舗開業に必須の食品衛生責任者の資格をお金と時間を節約して取得できたり、就労ビザの取得に有利になりより優れた海外のお菓子作りの技術習得に役立ったりするからです。
とくに就労ビザに関してはお菓子作りの本場フランスでより高度な菓子製造技術を身につけたい人にとって、非常に大きなメリットになります。
製菓衛生師の取得に際しては、受験資格が以下の2つです。
・都道府県知事の指定する製菓衛生師養成施設において1年以上製菓衛生師として必要な知識及び技能を修得したもの
・2年以上菓子製造業に従事したもの
より効率的にお菓子作りの技術を習得し、さらに店舗開業に必須の知識や資格を取得したいなら養成施設の検討をしましょう。
養成施設では長年の経験によって効率化されたカリキュラムで体系的に製菓技術習得ができる上に、実際の店舗経営をシミュレートした授業によって将来の独立を見据えた知識も身につくからです。
養成施設に通わずにいきなり下積み修業に入ってしまうと、与えられた役割をこなすことで精一杯になりがちです。その状態では体系的な製菓技術の習得が遅れてしまい、独立までに時間がかかってしまいます。
養成施設で体系的な技術と知識を得た上で下積みに入れば、自分が全体工程のうち何をしているか、自分が行っている作業で重要なことは何かを考えながら仕事ができます。
ただ指示されたことをやっている人よりも、全体の作業を理解しながら役割をこなしている人のほうがモチベーションを保ちやすく、技術習得も早いため養成施設で体系的な製菓技術を習得しておくことは大切です。
また、養成施設を選ぶときに重要なことは実習時間が多いことと、実習で使える設備が整っていることです。
実習時間が多ければ多いほど調理の技術が早く身につきますし、設備が整っていなければ実習授業で効率よく技術を身につけられません。
独立して自分のお店を持つときには、確かな製菓技術が必須です。その技術を効率よく学ぶためにも、実習時間が多く設備も充実した養成施設を選ぶようにしましょう。
なお、武蔵野調理師専門学校では業界でもトップクラスの実習時間を確保しており、1人1台の調理台を用意しています。1人1台の調理台を使える養成施設は武蔵野調理師専門学校の他にはほとんどありません。
また、在学中から店舗経営をシミュレートした実習を行っていることも特徴です。
その実習では実際の店舗を運営するときに必要なメニュー開発、原価と販売価格設定、施策や販促ツールの利用、制作と販売を学生だけで行います。
充実した実習時間と設備を利用して、確かな製菓技術と店舗経営の知識を身につけたい人はぜひ武蔵野調理師専門学校をご検討ください。