活躍する卒業生
本校の卒業生は、さまざまな現場の第一線として日々活躍しています。
ここでは卒業生たちの現在の仕事や在学中のエピソードなどをインタビューでご紹介します。
株式会社ニュー・オータニ
ホテルニューオータニ
統括料理長
太田 高広 さん
PROFILE
栃木県立益子高等学校出身
(現・栃木県立益子芳星高等学校)
- 1986年
- 調理師科卒業
- 1987年
- ホテルニューオータニ入社
- 2004年
- ホテルニューオータニ
「SATSUKI」料理長に就任 - 2011年
- ホテルニューオータニ
西洋料理副料理長に就任 - 2014年
- ホテルニューオータニ 大阪
総料理長に就任 - 2019年
- ホテルニューオータニ
統括料理長に就任
「一生やっていく」という覚悟で、料理の道を極めつづける。
料理に対する熱意が、国境を超えた繋がりまで生み出している。
僕はもともとホテルの料理人をめざしていて、「一生やっていく」という覚悟でニューオータニに入社しました。実際に仕事を始めると、日本の現場ではもちろん海外のシェフにも刺激をもらえますね。たとえば、昨年の11月に行われた700名に料理を提供するイベントでは、フランスの三つ星シェフとタッグを組んだのですが…一切、妥協しないんですね。我々だと大規模な人数になると、普段は盛り付けなども事前に準備をして、逆算しながら料理を提供するんです。ただ、彼は「全部その場でやる」と。「お皿だけ熱々にしといてくれ、あとは700名分をイチからつくる」と言われたときは驚きましたよ。タイムロスも当然出るし、リスクを考えると恐れ多くて普段はできないんですけど、その三つ星シェフの妥協しない心は見習おうと感じましたね。この世界には色々な性格や考え方を持つ方がいるので、コミュニケーションが重要です。意思疎通には語学力も必要ですが、何より料理に対する熱意が共通していれば、国を超えて通じ合うことができるんです。相手の熱意に応えるために僕も一生懸命やる、という想いは覚悟を決めたあの日から変わりませんね。
脳と舌の記憶をアップデートすることで、最高のおもてなしができる。
今でも、色々なことを吸収するしかないと思う毎日です。たくさんの料理を見て食べて、ピンと感じたものを記憶に留めておく。特にホテルの場合、お客さまがどんな趣旨でいらっしゃるかとか、年齢、好みなども加味しながらメニューを考えます。色々なシチュエーションと相手を想像しながら相当な数を考えるので、やっぱり生みの苦しみにぶつかるんですね。そういうときに、インプットすることの重要性に気付くというか。常に好奇心や探究心を抱くことで、ニューオータニに来てくださるお客さまに満足いただける料理やサービスが提供できると実感しますね。だからこそ、いつまでも脳と舌、両方の記憶をアップデートしていく心を大切にしていきたいです。
株式会社ベストホスピタリティーネットワーク
ホテル インターコンチネンタル 東京ベイ
調理部 製菓・製パン パティシエ
高橋 萌 さん
PROFILE
千葉県 船橋市立船橋高等学校出身
- 2007年
- ダブルスイーツ科
(現・高度調理製菓科)卒
目標と想いが、プロとしての仕事を後押ししてくれる。
今までで特に印象深いのは「第25回ルクサルド グラン プレミオ(2018年)」で優勝したことです。イタリア・ルクサルド社の洋酒を使いプティガトーとピエスモンテを製作するのですが、時間が短くシェフの間でも一番大変だと言われていて。その年、4度目の挑戦だった私は、必ず優勝するという気持ちで挑みました。そんな中、シェフからの「誰が見ても分かりやすく、かつストーリー性があって想像をかき立てるものを作りなさい」というアドバイスは印象的でしたね。ケーキを見た瞬間に何を表現しているかが分かり、これ以上はできないというレベルまで完成度を上げて全体のストーリーを描く。シェフからの言葉を胸に、締切間際まで粘って優勝したときは本当に嬉しかったです。プロとして仕事の精度を高めるには、実務だけでなく自らコンクールに挑戦するという個人の技術を磨く努力が必要だと感じました。今後もこの仕事が好きだという熱い想いを持ちながら、目標を掲げてこの道を追求しつづけたいです。
株式会社フォーシーズ
ラ ターブル ドゥ ジョエル・ロブション
シェフ
池田 欣正 さん
PROFILE
都立港工業高等学校(現・東京都立六郷工科高等学校)出身
- 2001年
- 高度調理経営科卒業
ロブション氏の遺志を継ぎ、素材の味を活かした料理で感動を伝えたい。
料理って足し算や引き算をして、無限のアレンジができる科学のようなものだと思います。試作を重ねた末に納得のいく料理でお客さまに喜んでもらえたら、これ以上嬉しいことはありません。また、料理は見た目の美しさはもちろん、お客さまに期待以上の感動を与えられるものだと考えているので、これからもより多くの方々にそれを伝えていきたいです。私はロブション氏のロジックをしっかり守り、旬の食材をベースに手を加えすぎず、素材そのものの味が活かせるようなメニューづくりと調理に取り組むことを大事にしています。生前、ロブション氏自身が自らお客さまのテーブルに出向き、気さくに写真撮影に応じていたんです。そのような遺志を継いで私も自ら客席に出向くのですが、シェフ本人とお客さまが会話することで、より一層料理やデザートのおいしさが深まると実感しています。学生のみなさんにも、「お客さまのために自分は何ができるか」を考えて、料理の道を歩んでほしいですね。