調理師免許の合格率は60~70%前後!年度や都道府県ごとに差がある
調理
調理師免許は2通りの方法で取得できます。1つは専門学校や短大などで調理について学び卒業する方法で、もう1つは2年以上調理の実務を経験した上で試験に合格する方法です。
この記事では2つ目の2年以上の調理実務経験を積んだ人が受ける試験について、合格率や試験内容などを解説します。
これから調理師免許試験を受験しようとしている人は、この記事を読んで難易度や試験内容を理解してから対策を進めましょう。
調理師免許の合格率は毎年60~70%前後!難易度は比較的易しい
調理師免許の合格率は60~70%前後で、国家試験の中では比較的易しいといえます。
司法試験や医師国家試験など受験に際し学校に通う必要がある資格を除いて、国家資格試験の中でも難易度の高いといわれる宅建士は令和4年の合格率が17.0%、公認会計士は令和4年の合格率が7.7%です。
これらの資格と比較すると調理師免許試験の難易度はそこまで高くないことがわかります。
しかし、試験の難易度が比較的低いからといって油断してはいけません。合格率が60%~70%であれば約3人のうち1人は落ちる計算になるため、受験のときにはしっかりと準備をしましょう。
平成24年度~令和3年度までの10年間の合格率推移
平成24年度~令和3年度までの10年間における調理師免許試験の合格率は以下のようになっています。
合格率(全国平均) | 合格率 |
---|---|
平成24年度 | 60.5% |
平成25年度 | 61.2% |
平成26年度 | 61.0% |
平成27年度 | 62.1% |
平成28年度 | 64.4% |
平成29年度 | 61.7% |
平成30年度 | 61.6% |
平成31年度 | 66.4% |
令和2年度 | 70.2% |
令和3年度 | 65.6% |
(引用元:公益社団法人全国調理師養成施設協会HPの統計データ第6-2表 年度別(10年間)・都道府県別調理師試験合格率)
この表からも調理師免許の合格率は、毎年全国の平均として60%~70%前後で推移していることがわかります。
ただし、この全国平均は全国の受験者数と合格者数に基づくため、当日欠席の場合は不合格に含まれる場合があります。つまり、実際に試験を受けた人と合格者数で計算すると合格率は多少上昇すると考えてよいでしょう。
令和3年度の都道府県別調理師試験の合格率
令和3年度の都道府県別調理師試験の合格率は下表の通りです。
都道府県 | 令和3年度 |
---|---|
北海道 | 60.7% |
青森 | 60.4% |
岩手 | 53.5% |
宮城 | 66.4% |
秋田 | 58% |
山形 | 64.8% |
福島 | 55% |
茨城 | 65.1% |
栃木 | 71.7% |
群馬 | 86.8% |
埼玉 | 71.6% |
千葉 | 63.7% |
東京 | 70.5% |
神奈川① | 83% |
神奈川② | 71.8% |
新潟 | 69.6% |
富山 | 70% |
石川 | 69.4% |
福井 | 53.6% |
山梨 | 60.3% |
長野 | 82.7% |
岐阜 | 68.8% |
静岡 | 66.3% |
愛知 | 69.3% |
三重 | 61.4% |
滋賀 | * |
京都 | * |
大阪 | * |
兵庫 | * |
奈良 | 64% |
和歌山 | * |
鳥取 | 63.8% |
島根 | 63.1% |
岡山 | 64.4% |
広島 | 67.6% |
山口 | 68.4% |
徳島 | * |
香川 | 65.3% |
愛媛 | 57.5% |
高知 | 65.2% |
福岡 | 65% |
佐賀 | 58% |
長崎 | 51.3% |
熊本 | 52.4% |
大分 | 63.1% |
宮崎 | 63.3% |
鹿児島 | 57.1% |
沖縄 | 35.4% |
*関西広域連合 | 63.9% |
(引用元:公益社団法人全国調理師養成施設協会HPの統計データ 第6-2表 年度別(10年間)・都道府県別調理師試験合格率エクセルデータより当校にて抜粋)
各都道府県において合格率に差があります。これは各都道府県における受験生のレベルの差や、調理師試験の内容が各都道府県によって異なることが理由として考えられます。
どの都道府県で受験しても合格基準は変わらないため、特定の都道府県だけが難しい試験を実施していることはないと考えて問題ないでしょう。
調理師試験の合格ラインは原則として満点の6割以上
調理師免許の合格ラインは原則として満点の6割以上です。ただし、複数科目で提出される調理師試験の1科目でも平均点を大きく下回ると不合格になってしまう場合があります。
極端な例で考えれば得点が5科目で100点満点、1科目が0点、全科目の合計点数が500点という人は不合格になります。
調理師免許を600点満点と考えれば、6割以上の360点を取れれば合格のはずです。しかし、1科目で0点があり平均を大きく下回ってしまったため、この場合は不合格になると考えましょう。
調理師試験の出題範囲は科目が6つ!マークシート方式で出題
調理師試験の出題範囲は以下の6つです。
・公衆衛生学
・食品学
・栄養学
・食品衛生学
・調理理論
・食文化概論
すべての科目の問題をあわせて全60問で、マークシートによる4つの選択肢から1つの正解を選ぶ方式で試験が行われます。
4つのうち正しいものを1つ選ぶ問題や、逆に4つの中から誤っているものを1つ選ぶ問題があるため、試験のときは落ち着いて正答を選びましょう。
不合格になっても諦めないで!別の都道府県で再受験可能
調理師免許は司法試験や医師国家試験のような1年に1度しか受けられないタイプの国家試験とは異なり、同じ年に何度も受験可能です。
都道府県を変更したり、受ける日付を変えたりすることで試験をやり直すことが可能です。そのため、1度試験に落ちてしまったとしても、諦めずにまた再挑戦できます。
都道府県別の合格率のところで記載したように、各都道府県によって合格率が異なります。それは受験生のレベルの差や問題の差が原因と説明しました。
試験は水物といわれるようにそのときの運や周りの状況に左右されることが多いものです。
当日体調が悪かった、たまたま自分の勉強が不足しているところばかりが問題に出題された、周りの受験生のレベルが高く平均点がとても高かったなど、あなたの努力だけで変えられない部分によって不合格になる可能性もあります。
そのような場合にもリトライのチャンスがあるため、また学習をやり直した上で再挑戦し、調理師免許の取得を目指しましょう。
勉強量は目安として90~360時間程度と考える
調理師免許の難易度は他の国家試験に比べると低いと説明しましたが、勉強が不要というわけではありません。
通信教育講座の大手であるユーキャンによると調理師免許を取得する人の学習時間は3か月から半年、毎日1~2時間程度の学習を継続する人が多いようです。
(参考サイト:ユーキャンサイト「調理師免許資格の取得方法は」)
3か月間、1日も欠かさずに1時間の勉強を継続すれば約90時間の学習時間になります。半年継続すれば180時間です。
1日の学習時間を2時間にすればその倍は学習時間に当てることになるため、働きながら調理師免許の取得を目指す人は学習時間の確保も大きな課題となることを覚えておきましょう。
調理師試験を受験するためには大きく2つの資格が必要
調理師免許試験を受験するためには大きく2つの資格が必要です。
中卒以上の学歴を持っていること
1つ目の資格は中学校卒業の学歴を持っていることです。日本では中学校までが義務教育であるため、このハードルはそこまで高くないでしょう。
指定された施設で2年以上調理業務に従事したこと
2つ目の資格は指定された施設で2年以上調理業務に従事した経験があることです。指定された施設は以下を対象とします。
- 飲食店営業(旅館や簡易宿泊所を含み、喫茶店営業は除く)
- 魚介類販売業(販売のみは除く)
- そうざい製造業や複合型そうざい製造業(煮物や焼き物などのそうざいや、これらにご飯やパンなどを組み合わせたいわゆる弁当製造など)
- 寄宿舎、学校、病院等の大規模給食施設(継続して1回20食以上、または1日50食以上の食事を調理して提供する施設)
これらの施設で週に4日以上1日6時間以上、正社員以外のアルバイトやパートなどでも2年以上実働を行った人が、調理師免許試験の受験資格を得られます。
ただし、同時期に複数施設で働いた場合はその時間を合算できません。
つまり、1日に1つの施設で3時間、別の施設で3時間勤務した場合は、これらを合計して1日6時間以上の勤務として認められないため注意が必要です。
1つの施設で働いていて、途中で施設を変更して通算2年以上の勤務とすることは可能なため、転職をしても通算2年に影響はありません。
調理師学校を卒業すれば試験を受けずに調理師免許が取得可能!
調理師免許を試験で取得するためには学歴と実務経験の条件を満たした上で、数十時間の勉強をして合格率60%の試験を突破しなければなりません。
しかし、この試験を免除して調理師免許を取得する方法があります。それは調理師の専門学校や短大を卒業する方法です。調理専門の指定された養成施設で1年以上学習し卒業すれば、卒業と同時に調理師免許を取得できます。
さらに、就職実績の優れた学校なら一流ホテルや有名レストランなどを就職先として紹介できるため、調理師免許を取得するだけではなくその後の働く機会も得られます。
調理師として生活するためには調理師免許だけではなく、最初のキャリアが非常に大切です。一流ホテルやレストランで修行すればその後の転職も有利になります。
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